好きな本・映画・音楽

芥川龍之介『蜜柑』

アラン・シリトー『長距離走者の孤独』

アルトゥル・ショーペンハウアー『自殺について』

江戸川乱歩『芋虫』

金原ひとみ『アッシュベイビー』

川上未映子『乳と卵』

川端康成『雪国』

小谷野敦『評論家入門』

齊藤令介『原始思考法』

澤井義夫『ボボボーボ・ボーボボ

志賀直哉『城の崎にて』

田中康夫『なんとなく、クリスタル』

谷崎潤一郎痴人の愛

西村賢太『焼却炉行き赤ん坊』

ビートたけし菊次郎とさき

三島由紀夫金閣寺

村上龍限りなく透明に近いブルー

森鴎外『雁』

山田詠美『指の戯れ』

山崎ナオコーラ人のセックスを笑うな

 

映画

大根仁『SCOOP!』

ガス・ヴァン・サント『ドラッグストア・カウボーイ』

スパイク・リー『オールド・ボーイ』

デヴィッド・リンチ『ブルーベルベット

ブラッド・アンダーソン『マシニスト

ポール・W・S・アンダーソン『デス・レース』

吉田大八『桐島、部活やめるってよ

ラス・メイヤー『モーター・サイコ』

 

音楽

アレッド・ジョーンズ『walking in the air

Yellow Magic Orchestraライディーン

石川智晶『アンインストール』

尾崎豊cookie

鬼束ちひろ『月光』

サイモン&ガーファンクル『The Sound of Silence』

ザ・スミス『there is a light that never goes out』

ザ・ドアーズ『the crystal ship』

Joy Division『she's lost control』

パッヘルベル『カノン』

flipper's guitar『奇妙なロリポップ

 

 

コロナ

2月1日、近畿地方環境事務所野生生物課の大村のもとに、舞鶴港でコンテナの荷物を運び出していた作業員から連絡があった。
蚊のような頭をした奇妙な蟻に血を吸われた、なお、七匹ほどではあるが、それの上陸を許してしまったとのことであった。
作業員を病院に搬送した後、大村はその足で京都大学の松岡を訪ねた。
松岡とは、大学時代に生物学を学んでいた大村の恩師であり、蟻研究の第一人者であった。
大村は、松岡を訪ねたわけを説明した。
「容易ではない事態だ…」
松岡の声には重量感があった。
「何か心当たりでも」
「いや、逆だ。」
「逆―というと、まさか、新種では」
大森は声を潜めた。
「蟻の研究学会では、そのような口を持った蟻がいるとの報告はない。しかし、これがもし関係あるなら…」
松岡は、中国で原因不明の不審死相次ぐと書かれた新聞をテーブルに広げた。
「…」
「君はすぐ役所に戻って、上官にすぐ対策するように言え。」

地方近畿環境事務所に戻った大村は、所長室に直行し、「大変なことが起こりま…」
「確認だが、」同事務所所長に木本は、冷たい声で大村の提言を遮った。
「ここでは、君の上司である課長から私に通すのがルールだ。自分の席に戻りなさい。」
目が鋭い。鋭いと言っても、面倒なことをさせるなという恫喝の目だ。
大村は、「事態は急を要します!」と叫ぶと、矢継ぎ早に、中国の大量不審死に関わっている可能性のある蟻が国内に侵入した可能性があると説明すると、踵を返した。
「待ちたまえ」木本の声が背にかかった。「その蟻というのは何匹ほどだ」
七匹ほどだと答えると、わずかに関心を膨らませた自分自身をも嘲るような冷笑を浮かべると「よろしい、戻りたまえ」
木本はどうするとも言わなかった。

大村が竹中課長に呼ばれたのは翌日のことであった。
「君は役所で働くうえで大切なことはなんと心得る」
「日々、公のために尽くすことが公務員の…」
「黙れっ!」
しかし、今度は大村が竹中の言葉を遮った。
「はっきり申し上げます。このまま放置しておけば日本全土、いや、世界全土にわたる未曽有の危機に陥ります。」
「たかが数匹の蟻で!」竹中は机を蹴飛ばして立ち上がった。
「君の話には根拠がないんだよ!根拠が!証拠もなく未曽有の事態だなんて言葉を使って格好つけるな!」

その姿かたちから「カアリ」と名付けられた奇妙な蟻に対して、対策会議が開かれたのは2月11日のことであった。
登山に出掛けたR大学山岳部の部員全員が謎の死を遂げ、病院は例の蟻が関与している可能性があると発表したからである。
会議には松岡博士も出席し、終始、「都心部を含む包括的な薬剤散布をすべき、今なら京都府北部地域のみで済む」と主張したが、他の博士らは、都心部に巨大なバルサンを焚くような真似をしたら、経済及び健康に甚大な影響を及ぼすと終始、否定的な意見を述べた上で、山中のみの薬剤散布を提言し、可決された。

福知山市を走るタクシーの運転手は目を疑った。
信号が黒く塗りつぶされている。疲れているのだと思い、タクシー運転手は道路脇に駐車すると目をつむった。
運転手が目を覚まし、黒塗り全体が車全体を覆ったことで、それが蟻であることが分かった。
山中に繁殖した蟻は、薬剤に興奮し、一斉に下山、市街地を襲ったのである。
自衛隊のヘリが出動し、火炎放射がなされたが、カアリは一糸乱れぬ隊列をなし、都心部へと進んでいった。

臨時国会が召集されたのは2月25日、カアリが福知山を襲った二日後のことであった。
木本はここで証人喚問に呼ばれ、野党から集中攻撃を浴びることになった。
近畿地方環境事務所長に尋ねるが、あなたは野生生物課員の大村さんが対策を進言したにも関わらず、それを無視した。その態度が、今回の騒動を起こしたんじゃないですか!」野党議員からの質問に、木本は「申し訳ございません」の一辺倒であった。
代わって、松岡博士が登壇した。松岡は、現段階で分かっているカアリの生態など、専門家としての見解を述べるために呼ばれていた。
「カアリは、蚊のような頭部を持ち、産卵に必要なたんぱく質を得るために、人間から吸血を行う。この際、通常の蚊であれば、ヒスタミン、つまり生理活性物質を含む唾液を注入しつつ、血液を吸うが、カアリはヒスタミンではなく、毒性のある液を注入する。これは蜂の毒と同様で、同時に何か所も刺されると死亡する可能性がうんと高まる。また、その毒はウィルス性のものではないため、中和による治療が可能だが、蚊に刺された人ひとりひとりに対応すれば、医療崩壊が起こるのは必至であり、また、中和による治療のため、処方箋となる劇薬を民間に売るわけにもいかない。また、早期段階である現在こそ、抜本的なカアリ駆除をすべき。ややこしいようであるが、カアリとは、蚊の頭に蟻の胴、蜂の毒を持った生物である。」
松岡は珍しく、熱のこもった口調で続けた。
「それから、政府には、都心部を含むすべての人に外出禁止を命じる緊急事態宣言を発令していただきたい。アリの巣に毒薬を流せばいいと思うかもしれないが、口の構造からもわかる以上、奴らは人間の血液のみを吸う」

だが、3月になっても政府は緊急事態宣言を発令しなかった。いや、できなかった。
政府が、緊急事態宣言の前に行った外出自粛に従う者があまりに少なかったのである。
そのため、政府は、超音波で都心部にカアリを近づけない作戦を試みた。
しかし、作戦は失敗に終わり、逆に、何十億、何百億匹にも上った殺人蟻の大群は、その音に誘われるかのように進撃してきた。

4月になると、全国各地で暴徒が病院を襲撃する事件が立て続けに起きた。
カアリの毒に対するワクチンを要求してのものであった。
「ワクチンなんてありません!厳密な量の劇薬で中和するしかないんです」厚生労働省から派遣された役人が割って入った。
「嘘だ、殺せ!」「どうせ死人だ、ここにいる女は全員犯せ!」

5月、蟻の大群はついに東京に迫った。
緊急事態宣言はすでに出されていたが、国会の前には多くの暴徒と化した国民が詰めかけていた。
薬剤を散布するから家に戻れ、というアナウンスが再三なされた。
やがて、地面がありと人とで黒く塗りつぶされた時、薬剤散布は強硬的に行われた。
黒い絨毯が白く染まった時、首都を壊滅の淵まで追い込んだ狂瀾怒濤は次第に遠のき、家の中にいた人々は無人の街を歩きだした。

マニアック

某お笑い芸人の「プロレスやドラゴンボールで例えられてもわからない」という発言に、共感の声が寄せられている。

 

この件で私が気になったのは、この発言のニュアンスである。

彼は、ベーシックなお笑い能力が低い芸人が、マニアックな話題をネタに取り込むことに対して怒っているのか、それとも、誰がわかんねんという細かすぎて伝わらない的なネタ自体が崩壊していると言いたいのだろうか。

 

また、彼に共感した人たちはどちらのニュアンスで共感したのだろうか。

後者であるならば、彼らは、隣になった他人の面白い話を盗み聞きした経験がないのだろう。この人の面白さは自分にしかわからないと思った経験がないのだろう。

 

私はそうした人を責めるつもりはない。

ただ、他人に興味を持って貰いたいと言うのであれば、話は別で、そうした人がまず受け入れるべき前提として、誰もあなたに興味はないというものがある。

 

しかし、それでも自分に興味を持って欲しいあなたは何をすべきなのか。

面白い話をする、これに尽きる。

当然、ここで言う面白い話とは、普通ではない、それこそマニアックなもので、そんなものはないと言うならば、ヤバい人に絡まれても面白エピソードができる可能性に賭けて拒まないなど、かなりの努力をしなくてはいけないのである。

慈悲

「悪い人じゃない」と評される人が嫌いだ。

 

彼らには想像力がないからだ。

人に対する慈悲がないからだ。

想像力とは、慈悲から生まれると思う。

 

慈悲の心を持つには、報われない友人を持つ必要がある。

この時点で、このような友人がいない人は想像力を持つことができないといえる。

 

しかし、このような人は運が悪いのではなく、報われない人々と関わることはしんどいと拒絶しているだ。

ビートたけしが「やってもないのに感動をありがとうなんて言うやつは想像力がない。たまには感動を与える側になってみろ」と述べたが、まさにその通りである。

 

慈悲の心がなければ、想像力は生まれない。

想像力がなければ、発明は生まれない。

この世にある発明のほとんどは、人々を助けたいという思いから生まれているのである。

慈悲の心がない人は、自分たちが多くの人や物から助けられて生きていることをわかっていない。

 

人を傷つけないだけの人間は、いい人ではないと思う。

例外はあるが、人の善悪判断は加点方式でなされるものである。

優生論

「人生は嫌なことの方が多い」「自分は親に産んでくれなんて頼んでない」と、この世に生を受けたことに恨み言を言う人がいるが、そういった人に限って子どもを欲しがる。

 

これは大きな矛盾であるし、彼らが毒親になることは目に見えているので彼らの子どもに哀れみを感じる。

 

子どもを幸せにできるキャパのない人は、子どもを産むべきではない。

親に「産んでくれなんて頼んでない」なんて無意味なことを言うのではなく、自殺なんて無意味なことをするのではなく、黙って産まなければいい話なのだ。

 

子どもを産まなければ、どれだけのお金が浮くか、ということを想像して欲しい。

お金があれば幸福になる訳ではないが、お金があれば免れる不幸が多いのも事実である。

 

ドイツの哲学者であるショーペンハウアーは『自殺について』において、「苦痛は意志の本質であるのに対し、自殺は個体性の消滅しかもたらさないから、自殺が苦痛を解決しうるはずがない」と述べた。

子どもを産まないことは自殺などより世の不条理に対するアンチテーゼとなりうるし、合理的だ。

 

人生は嫌なことの方が多いと考えている人は「子どもを産まなくてもいい」という考えを持つことで、少しだけ楽に生きられるのではないだろうか。

デリカシー

私にはロリータ服を好む友人がいるが、ロリータ服はナンパや痴漢を誘発するもので、そうしたことをされても仕方ないという評価は言語道断だと憤っていた。

その通りだと思う。

 

例えば、ライオンが鹿に下す「美味しそう」という評価は、食欲という欲望の一方的な押しつけで、鹿の主体性を剥奪するものだ。

しかし、それをライオンに説いても仕方がない。

自分の一方的な欲望の押しつけを野卑な行為として恥じるという品性があるのは人間だけだからだ。

 

とは言え、前述したように世の中には獣レベルの品性しか持っていない人がいる。

女を性的な目で見るのは勝手だがそれを言葉や行為にすることは、相手の主体性の剥奪であり、極端に言えばナンパも痴漢も強姦も同じなのである。

 

また、獣レベルの品性しか持たない男は愛によって人間の品性を持つと思っている女もいるが、それは間違いで、彼らのような男が生まれるのは、男はナンパや痴漢をされることが少ないので、欲望を押しつけられることの不快感を想像するのが難しいためだ。

 

獣レベルの品性しか持たない男に必要なのは、愛ではなく想像力なのである。

いじめ

私は小学校時代にいじめを受けたが、いじめっ子に感謝している。

 

当時の私は、いじめられる具体的な要因(体臭や服装など)はなかった。

しかし、漠然とした要因はあったのである。

 

具体的な指摘は家族にしかできないが、漠然とした注意は他人にしかできない。

 

すべてのいじめに自己責任論を適用するのは誤りだが、いじめの定義が曖昧である以上、すべて加害者(とされてる側)が悪いとするのも極端ではないだろうか?

私は、傷害および窃盗をされた場合を除いて、いじめられた側も胸に手を当てて考えてみるべきだと思う。

 

しかし、傷害および窃盗を受けた場合、大いに戦うべきだ。相手は同級生ではない、敵である。

「生命および財産を侵す者」は「敵」と定義する。これは世界共通で、だ。

 

今や、「やめろ」と言うことや教師に相談することは有効な戦い方ではない。

法的手段にでる、いじめの様子を撮影してネットで流すなどすべきだ。

 

時代錯誤な手法でいじめに立ち向かってる人を見ると、私は漠然とした不快感を覚える。